story telling project

宿無しのおじいさん

ジョシュ・ヒューム

 去年の夏休み、僕は留学生として日本に行きました。二ヶ月間兵庫県に住んでいる家族とホームステイして、神戸にある学校で日本語を勉強したんです。やっぱり日本にいる間にすごくいい経験をしました。日本語を勉強する機会だけじゃなくて、いろいろな友達ができたからです。僕はそういう人に出会えて本当に感謝しているんです。特に一人のおじいさんに出会えてよかったんですよ。

 そのとき僕は毎日学校が終わったら、すぐ日本で会ったイギリス人の同級生と神戸の三ノ宮駅前公園に行って食事をしていたんですね。ある日その友達が学校に来なくて、一人で公園に行ったんです。そこでホストファミリ−のお母さんが作ってくれた弁当を食べ始めると、急に一人の宿無しのおじいさんが僕の座っていたところにやって、何も言わずに僕のそばに腰をかけたんですよ。僕は怖くなんかなかったけど、ちょっと緊張してしまったんです。「なんでこの人がここに座っているの」とか思いました。弁当を全部食べたら、彼が片言の英語で「どこから来ましたか」と訊いたんで、僕は「テキサス」と言いました。それで彼がカウボーイのまねをして、大きい声で笑ったんですよ。彼はアメリカのウェスタン映画の大ファンだそうです。それで二時間ぐらいアメリカの映画について話して、すごく仲良くなりました。そして一週間ぐらい毎日その宿無しのおじいさんに公園で会って、いろいろな話をしました。

 今、彼の名前と顔なんて全部忘れてしまったけど、出会えて本当に感謝しているんです。僕の世界とそんなに異なっている人と仲良くなれてうれしかったんです。

 

 
last modified 2006年7月15日