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5.動物が使われている言葉:  M. Nouzu
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日本語には動物が使われている言葉がたくさんある。動物の中で一番多く出てくるのは猫のようだ。

  (あつ) い食べ物が苦手な人をよく「あの人は猫舌 (ねこじた) だ」と言う。それは、熱いものに敏感 (びんかん) な舌を持っていて、熱い食べ物や飲み物が苦手な人だということだ。猫も猫舌だそうだ。というより、人間以外の動物はまず猫舌だそうだ。それは、 自然界 (しぜんかいん) では物をあたためて食べる習慣がないからだろう。

 「猫背 (ねこぜ) 」は、首を少し前に出して、背中を丸めた姿勢 (しせい) で、猫が背中を丸めてすわっているイメージから作られた言葉だ。一般的に高齢者に猫背の人が多いが、コンピューターやテレビケームの発展とともに猫背の若い人も増えてきているようだ。猫背だと体に悪い影響を与えるので、背中をまっすぐにするようにしたほうがいい。

 「猫糞 (ねこばば) 」は漢字を見ただけでは何のことかよくわからないだろう。「猫糞」とは「猫」と「 (ふん/くそ) 」の幼児語の「ばば」からできた言葉で、悪い事をかくして、知らないふりをするという意味がある。つまり、 (ひろ) った物などを () とした人に返そうともしないで自分の物にしてしまうことをいう。猫が、糞をした後で、すなをかけてかくすところから「ねこばば」と言われるようになったそうだ。

 「泥棒猫 (どろぼうねこ) 」も「 (ぬす) む」という意味がある。昔話 (むかしばなし) やまんがで、外で七輪 (しちりん) で魚を焼いていると人の目を盗んで猫がそれを持っていってしまうという場面 (ばめん) がある。「泥棒猫」は他人 (たにん) の家にこっそり入って食べ物を盗んで食べてしまう猫のことで、それはこっそり悪い事をする人のことを表している。とくに、女の人が男女のカップルの間に入って男の人を自分の恋人にしてしまった時、「あれは泥棒猫だ」といわれていたようだ。
                                
 「猫」が使われている言葉は他にも色々あるが、「犬」が入っている言葉には「 () け犬」というのがある。それは、けんかに負けてしっぽをまいて逃げる弱い犬のことで、勝負 (しょうぶ) 競争 (きょうそう) に負けて、もうチャレンジしない人のことをいう。犬の世界は人間社会よりも上下関係がはっきりしていて、一度負けた犬はいつまでも一番弱い立場にいるようだ。会社などで、ずっと平社員で下積みの生活を続けている人が負け犬と感じる事もあるようだ。

 また、「犬猿 (けんえん) (なか) 」というのは「とても仲が悪い」ことをいう。ところが、英語では「like cat and dog」で、猫と犬が仲の悪い象徴 (しょうちょう) になっている。「十二支(じゅうにし)」の話では猫とネズミが犬猿の仲だ。いつから日本では、犬と猿が仲の悪い象徴になったのだろうか。それには色々な説があるが、その一つは猫とネズミのように「十二支」の話に関係している。神様の所に行くために、犬と猿は仲良く出発したが、丸太橋 (まるたばし) を渡ろうとした時、その橋がせますぎて、一緒に川に落ちてしまい、 大喧嘩 (おおげんか) になったそうだ。彼らはそれからずっと犬猿の仲なんだそうだ。でも、犬と猿、犬と猫、猫とネズミは本当に犬猿の仲なのだろうか。私の友達は犬と猿を () っていたが、一緒には遊ばなかったものの、 (べつ) に喧嘩もしなかった。YouTubeなどにも猿が犬のノミを取っている動画 (どうが) や、犬と猫、猫とネズミが一緒に遊んだり、昼寝をしている動画がよく載っている。ということは、彼らは必ずしも犬猿の仲というわけではないのだろう。
                                                                                       
  (さる) の言葉には他に「猿真似 (まね) 」とか、「猿芝居 (しばい) 」がある。「猿真似」は他の人がしていることを、意味も目的も考えずに、そのまま真似をすることだ。これは猿が人間の行動をみてすぐ真似ができることに由来 (ゆらいい) している。「猿芝居」は猿が人間の服を着て、人間がする芝居を真似しようとするが人間のようにはいかないということで、下手な芝居をバカにして言う言葉だ。そして、すぐわかってしまうようなたくらみのこともいう。

  (たぬき) はビックリした時にバタンとたおれて、少しの間気をうしなうそうだ。でも、寝ている訳ではない。それで、「狸寝入り」という言葉がある。それは、都合が悪くなった時に、寝たふりをすることをいう。子どもが親に (しか) られそうになったら狸寝入りをすることが多いようだ。

  (とら) はこわい動物だが、「張子 (はりこ) の虎」は紙でできていて、首をふるおもちゃで、全然こわくない。それで、「張り子の虎」は (くせ) で首をよくふる人のことを言ったり、強くないのに強い人のふりをしたがる人のことをバカにして言ったりする言葉だ。
                                           
 「蛇足 (だそく) 」は必要ないものや余分なもののことをいう。昔、 (へび) (snake) の絵を早く (かび) 競争 (きょうそう) をした時に、他の人よりずっと早く描き終わった人が、蛇に足も描いたら負けてしまったという話に由来している言葉だ。

  (すずめ) (sparrow) は小さい鳥で、雀が (なが) せる (なみだ) はとても少ない。それで、「雀の涙」はとても少ないということで、英語では「drop in the bucket」と表現する。そして、「雀の涙ほどの給料 (きゅうりょう) では生きていけない」のような使い方をする。

 「ねずみ () り」は英語で「mousetrap」で、スピード違反などをしている車などを取り () まる方法だ。「ねずみ捕り」はネズミが通りそうな道に置いて、ネズミが来るのを待つ。それで、スピード違反を取り締まる方法が「ねずみ捕り」の方法に () ているからだ。

 「五月蝿い」は「五月の (はえ) (fly) 」に「い」をつけて、「うるさい」と読む。五月になるとたくさん蠅が出てきて、ブーンブーンとうるさくて、じゃまになるからだ。

 猫なで (ごえ) 、いたちごっこ、トンボ (がえ) り、鵜呑 (うの) み、おしどり夫婦、 (うぐいす) 色、モグラ (たた) き、蝶々 (ちょうちょう) (むす) び、など、生き物が使われている言葉は他にもたくさんある。使われている動物の習慣や特徴 (とくちょう) を考えて、これらの言葉がどういう意味か考えてみるのも面白いと思う。

単語リスト
目を盗む to do something behind someone’s back
しっぽをまくう to tuck one’s tail between one’s legs
たくらみ plot, conspiracy
気をうしなう to faint

参考サイト
http://www.fluentu.com/japanese/blog/weird-strange-japanese-words/
http://gogen-allguide.com/
https://kotobank.jp/

動物が使われている言葉
「面白い日本語」より
Reproduced with permission of M. Nouzu